相似の証明で減点されるのは、たいてい書き方です。
△ABC ∽ △DEF の左右は、対応する頂点の順に書く
順序を守らないと、そこから作る比の式がすべて狂います。約束ではなく、必要だから守るのです。
証明の型(4行)
- どの2つの三角形を比べるかを書く
- 等しい角(または辺の比)を2つ示す
- それぞれに根拠を書く(共通、平行線の錯角、仮定 など)
- 相似条件を書いて結論を述べる
相似条件は3つです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 3組の辺の比 | 3組の辺の比がすべて等しい |
| 2組の辺の比とその間の角 | 2組の辺の比と、はさむ角が等しい |
| 2組の角 | 2組の角がそれぞれ等しい |
実際の証明では「2組の角」を使うことが最も多くなります。
やってみる1:直角三角形と垂線
∠Aが直角の三角形ABCで、AからBCに垂線AHを引きます。△ABCと△HBAが相似であることを示しなさい。
証明
△ABCと△HBAにおいて
- (仮定と垂線)
- (共通)
2組の角がそれぞれ等しいので
△ABC ∽ △HBA
対応の順序を確認する
AとH、BとB、CとA が対応しています。だから比は
AB : HB = BC : BA = CA : AH
順序を守れば、何番目の辺どうしを比べるかで迷いません。
数値で確かめる
、、 の直角三角形で考えます。面積から
また 、 です。
【検算1】比を3組とも計算します。
3組ともぴったり同じ ○ 相似が成り立っています。
【検算2】。BCの長さと一致 ○
【検算3】三平方の定理でも確かめます。
成立 ○ これは相似から出てくる有名な関係です。
順序を間違えるとどうなるか
もし「△ABC ∽ △HAB」と書いてしまうと、対応は A↔H、B↔A、C↔B。すると
AB : HA = 3 : 2.4
これは で、他の組と一致しません。
と は違う——順序を間違えると比が合わなくなります ○
比が合わないときは、まず対応順を疑う
やってみる2:平行線による相似
三角形ABCで、DE // BCとします。△ADEと△ABCが相似であることを示し、、 のときのDEを求めなさい。
証明
△ADEと△ABCにおいて
- は共通
- (DE // BCの同位角)
2組の角がそれぞれ等しいので △ADE ∽ △ABC
DEを求める
なので 。相似比が なので
【検算1】 ○ 相似比と一致します。
【検算2】面積比は相似比の2乗なので
三角形ADEは全体の ○
書くときの注意点
| 場面 | 書き方 |
|---|---|
| 角が共通 | 「共通」 |
| 平行線がある | 「〜 // 〜 の同位角(錯角)」 |
| 問題文で与えられている | 「仮定」 |
| 直角 | 「仮定」または「垂線だから」 |
根拠のない等式は書かない——これが証明の基本です。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「対応順に書く」が約束として提示されるから
頂点を対応順に並べる——決まりごととして教えられます。守れば正しく書けるので、理由まで踏み込まれにくい。
ところが理由は明確です。比の式を作るときに、対応順がそのまま使えるから。順序が崩れると比が合わなくなります。
2. 証明の型が形式的に見えるから
「〜において」「よって」「2組の角がそれぞれ等しいので」——決まった言い回しが並びます。
形式に見えますが、これは根拠を落とさないための枠です。枠の意味が伝わらないと、書き写す作業になってしまいます。
3. 相似は中3の後半で配当が短いから
相似は中学3年で扱われ、そのあと円・三平方と続きます。証明の練習量を確保しにくい時期にあたります。
合同の証明(中2)で型を固めておかないと、相似で一気に苦しくなります。
【検算】3つの方法
1. 対応する辺の比を3組とも計算する
最も確実です。すべて同じ値になるはずです。
【検算】 が3組 ○
2. 対応する角が等しいか確認する
【検算】、 は共通 ○
3. 面積比が相似比の2乗か
【検算】相似比 なら面積比 ○
よくあるミス
ミス1:対応順を無視して書く
比が合わなくなります。
ミス2:根拠を書かない
「共通」「同位角」などを必ず添えます。
ミス3:合同条件を書いてしまう
相似条件は3つです。
ミス4:角を1組しか示さない
2組必要です。
ミス5:辺の比の順序を逆にする
左の三角形の辺を左に書きます。
ミス6:結論の記号を書き忘れる
∽を使い、対応順で書きます。
練習問題
- △ABCと△HBAが相似である理由を、2組の角で説明しなさい。
- のときのAHを求めなさい。
- BHとCHを求めなさい。
- 対応する辺の比を3組とも計算しなさい。
- を確かめなさい。
- DE // BC、、 のときのDEを求めなさい。
- 6のときの面積比を求めなさい。
解答
- 、 は共通なので2組の角
- 2.4
- 1.8、3.2
- どれも
- ○
- 8
- 4:9
まとめ
- 対応する頂点の順に書く(比の式がそのまま作れる)
- 証明は三角形→角2組→根拠→相似条件の4行
- いちばん使うのは2組の角
- 根拠は共通・同位角・錯角・仮定
- 比が合わないときは対応順を疑う
- 検算は3組の比/角の確認/面積比
証明は「読む人が納得できるか」がすべてです。頭の中で分かっていても、根拠を書かなければ伝わりません。逆に、型どおりに書けば必ず伝わります。相似の証明は型が決まっている分、練習した人が確実に得点できる分野です。
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