相似比が なら、面積比は 、体積比は 。公式としては覚えやすいのですが、入試ではここから一歩踏み込んだ問題が出ます。
とくに「切り取った残りの部分」を聞かれると、 をそのまま使って間違えます。正しくは 。この違いがどこから来るのかを押さえます。
結論:長さが 倍なら、面積は 倍、体積は 倍
理由は次元です。
- 面積=長さ×長さ … 長さが 倍なら 倍
- 体積=長さ×長さ×長さ … 倍
公式ではなく、かけ算の回数の話です。長方形でも三角形でも円でも、面積はすべて「長さ×長さ」の形をしているので、例外はありません。
【検算】いろいろな図形で確かめます。長さを2倍にします。
| 図形 | もと | 2倍にすると | 面積比 |
|---|---|---|---|
| 正方形(1辺3) | 9 | 1辺6で36 | |
| 長方形(3×5) | 15 | 6×10で60 | |
| 三角形(底4高3) | 6 | 底8高6で24 | |
| 円(半径2) | 半径4で |
すべて ○。図形の種類に関係ありません。
逆向きに使う
入試では逆向きも問われます。面積比から相似比を求めるときは、平方根をとります。
相似な2つの図形の面積比が のとき、相似比を求めなさい。
面積比が なので
【検算】 ○
体積比から相似比を求めるときは3乗根です。体積比 なら相似比は 。
【検算】 ○
方向を間違えないこと。長さ→面積は2乗、面積→長さは平方根です。
最大の落とし穴:切り取った「残り」
ここが本題です。入試で最も間違えられる形です。
円錐を、高さの中点を通り底面に平行な平面で切る。切り取った小さい円錐と、残った立体(円錐台)の体積比を求めなさい。
誤答:相似比が だから体積比は ——これは間違いです。
なぜか。 は小さい円錐 と もとの円錐の比です。聞かれているのは小さい円錐 と 残りの部分の比。
もとの円錐を8とすると
- 小さい円錐 … 1
- 残り(円錐台) … 7
答えは です。
【検算】具体的な数で確かめます。もとの円錐を底面の半径4、高さ6とします。
高さの中点で切ると、小さい円錐は底面の半径2、高さ3。
円錐台は 。比は
一致しました ○。 ではありません。
「部分と全体」か「部分と部分」かを確認する
これが判断の鍵です。
| 聞かれ方 | 答え |
|---|---|
| 小さい円錐 と もとの円錐 | (部分と全体) |
| 小さい円錐 と 円錐台 | (部分と部分) |
| 円錐台 と もとの円錐 |
相似比から直接出るのは「部分と全体」だけです。部分どうしを聞かれたら引き算が必要。
問題文で何と何を比べているかに線を引く——これで防げます。
三角形を平行線で切る場合
同じ構造が平面でも出ます。
△ABCで、辺AB、AC上に点D、Eをとり、DE BCとする。 のとき、△ADEと四角形DBCEの面積比を求めなさい。
まず相似比を出します。 なので 。
△ADEと△ABCの相似比は なので、面積比は 。
四角形DBCEは差の部分なので 。
答えは です。
【検算】具体的に確かめます。△ABCの底辺を9、高さを6とすると面積は27。
△ADEは相似比 なので底辺3、高さ2で面積3。四角形は 。比は ○
と を取り違えない——これも頻出のミスです。
相似比・面積比・体積比の一覧
| 相似比 | 面積比 | 体積比 |
|---|---|---|
表面積も面積なので2乗です。体積だけが3乗。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 公式が単純で、覚えるほうが早く見えるから
「2乗・3乗」は数秒で覚えられます。理由(次元)を理解するより速い。
ところが覚えただけでは応用が効きません。とくに「残りの部分」を聞かれたとき、公式だけでは対応できません。
「面積は長さ×長さだから2乗」と理解しておくと、初見の状況でも自分で判断できます。
2. 「部分と全体」の区別が問題文の読み方の問題だから
と の違いは、数学の理解ではなく問題文の読み取りです。
ところが数学の授業で「問題文を正確に読む」ことを訓練する場面は限られます。計算は合っているのに答えが違うという状況になり、原因が特定されにくい。
対策は「何と何の比か」を問題文に線を引いて確認することです。これだけで防げます。
3. 立体の相似が空間図形と相似の両方にまたがるから
相似は中3の「相似」、立体は中1の「空間図形」で扱われます。2年空いています。
円錐の体積の公式(底面積×高さ)を覚えていないと、体積比の問題で具体的な検算ができません。単元をまたぐ内容は、つなぐ作業が自分に委ねられます。
【検算】3つの方法
1. 具体的な数で計算する
最も確実です。相似比 なら、実際に と の図形を作って面積・体積を出します。
| 立体 | もと | 2倍 | 比 |
|---|---|---|---|
| 立方体(1辺2) | 8 | 1辺4で64 | |
| 円錐(半径2高3) | 半径4高6で | ||
| 球(半径1) | 半径2で |
どの立体でも ○
2. 何と何を比べているか確認する
部分と全体なら公式そのまま。部分と部分なら引き算が必要です。
3. 大小関係を確認する
面積比は相似比より差が開きます。相似比 なら面積比 で、より大きな差。
面積比が相似比より差が小さくなったら間違いです。
よくあるミス
ミス1:「残り」に を使う
は部分と全体。残りとの比は です。
ミス2:面積比を相似比と同じにする
相似比 なら面積比は。2乗を忘れないでください。
ミス3:面積比から相似比を求めるとき2乗する
逆です。面積比 から相似比を出すには平方根で 。
ミス4: を相似比だと思う
相似比は です。 なら 。
ミス5:表面積を3乗にする
表面積も面積なので2乗です。3乗なのは体積だけ。
練習問題
- 相似比が の2つの図形の面積比を求めなさい。
- 相似比が の2つの立体の体積比と表面積比を求めなさい。
- 面積比が のとき、相似比を求めなさい。
- 体積比が のとき、相似比と表面積比を求めなさい。
- 円錐を高さの の位置(頂点から)で底面に平行に切る。小さい円錐と円錐台の体積比を求めなさい。
- △ABCでDE BC、 のとき、△ADEと四角形DBCEの面積比を求めなさい。
解答
- 体積比 、表面積比は面積なので
- 。検算: ○
- 3乗根をとって相似比。表面積比は2乗で
- 相似比は なので体積比は (部分と全体)。円錐台は なので。検算:半径3高さ3の円錐(体積 )を切ると、小さい円錐は半径1高さ1で 。。比は ○
- なので面積比は 。四角形は で
まとめ
- 長さが 倍なら、面積は 倍、体積は 倍。理由は次元
- 表面積も面積なので2乗。3乗なのは体積だけ
- 逆向きは平方根・3乗根。方向を間違えない
- 公式から直接出るのは「部分と全体」の比。部分どうしは引き算
- 円錐を中点で切ると小さい円錐:円錐台=( ではない)
- 相似比は。 ではない
- 検算は具体的な数で計算/何と何の比か確認
「長さ・面積・体積で、比の効き方が変わる」という感覚は、高校の相似の応用、物理の相似則(大きい生き物ほど骨が太い理由)、さらには微積分での次元の扱いまでつながります。次元が1つ上がるごとに、比が1乗ずつ効く——中3のここで、公式ではなく理由として押さえておいてください。
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