を因数分解する。たすきがけを使うのですが、数の組み合わせを探しているうちに時間が過ぎる——非常に多い状態です。
実は試す順番と候補を絞る方法があります。運任せの試行錯誤から、手順のある作業に変わります。
結論:積が 、和が の2数を探す
を因数分解するとき、たすきがけの前に1つの数を探すだけで済ませられます。
かけて 、たして になる2数を探す
なら 、、。
- かけて18、たして11の2数 … 2と9
見つかったら真ん中の項を2つに分けます。
あとは2項ずつくくるだけ。
【検算】展開して戻します。
元に戻りました ○
この方法なら、たすきがけの図を描かずに済みます。探すのは1組の数だけです。
なぜこの方法で解けるのか
理由を確認します。 を展開すると
ここで 、、。すると
と の積が 、和が 。だから「かけて 、たして 」の2数を探せば、それが と になります。
【検算】先の例で確認します。 なので 。
○、 ○。確かに一致します。
候補を絞る手順
「かけて 」の2数を探すとき、やみくもに試さないための手順があります。
手順1:符号を先に決める
| の符号 | 2数の符号 |
|---|---|
| 正 | 同符号( が正なら両方正、負なら両方負) |
| 負 | 異符号 |
これで候補が半分以下になります。
【検算】 は 、。両方正。実際に2と9で両方正 ○
手順2:小さいほうから試す
の約数を小さい順に書き出します。18なら
和を計算すると 。11は2番目で見つかります。
約数の組は多くありません。 が100以下なら、たいてい5組以内です。
手順3:見つからなければ因数分解できない
すべての組を試して見つからなければ、その式は(整数の範囲では)因数分解できません。解の公式に切り替えます。
判別式が平方数かどうかでも判定できます。
【検算】 の判別式は 。平方数なので因数分解できる ○
一方 なら 。これも平方数で因数分解できます。実際 。
なら 。これも可能。。
【検算】 ○
係数が大きいとき
を因数分解しなさい。
ステップ1:、。
ステップ2: で なので両方負。
ステップ3:かけて72、たして 。72の約数の組は
和が17になるのは8と9。両方負にして と 。
ステップ4:分けてくくります。
【検算】展開します。
一致 ○
数値でも確かめます。 を入れると、元の式は 。答えは ○
共通因数を先に外す
これを忘れると計算量が跳ね上がります。
を因数分解しなさい。
共通因数6をくくると
中身は 、。かけて4たして5は1と4。
したがって。
【検算】 ○
くくらずに進めると となり、約数の組が一気に増えます。共通因数を先に外すだけで、探す手間が大きく減ります。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. たすきがけの図が「試行錯誤の道具」として提示されるから
たすきがけの図は組み合わせを試すための表です。図の書き方は教えられますが、どの順で試すかは各自に委ねられます。
結果として運任せの試行錯誤になり、時間がかかる人とかからない人の差が大きく開きます。
「かけて 、たして 」に一本化すれば、探すのは1組だけ。手順が明確になります。
2. を使う方法が標準では扱われにくいから
この方法はたすきがけの図を使わないため、教科書の説明とは別ルートになります。
ただし結果は同じで、しかも探す対象が1組の数に絞られるという明確な利点があります。答案には最終的な因数分解を書けばよいので、途中の方法は自由です。
3. 「できない場合がある」ことが明示されにくいから
整数の範囲で因数分解できない式はたくさんあります。ところが練習問題はできるものが中心なので、「必ずできるはず」と思い込みやすい。
すべての組を試して見つからなければ、できない——この判断を早くつけることが、時間を守るうえで重要です。判別式が平方数かで判定できます。
【検算】3つの方法
1. 展開して戻す
因数分解の検算はこれが基本です。真ん中の項が合っているかを特に確認します。
| 因数分解 | 展開 | 元 |
|---|---|---|
| 一致 ○ | ||
| 一致 ○ | ||
| 一致 ○ |
2. を代入する
最も速い検算です。 なら係数の和になります。
- …
- … ○
数秒で確認できます。ただし だけでは不十分なこともあるので、 でも試すと確実です。
- ○
3. 判別式が平方数か
因数分解できるはずなのに見つからないときは、そもそもできない可能性があります。判別式で確認してください。
よくあるミス
ミス1:共通因数を外さずに始める
が大きくなり、候補が激増します。必ず先に外します。
ミス2:符号を後から考える
符号を先に決めると候補が半分以下になります。 なら異符号、 なら同符号。
ミス3: ではなく だけで探す
のときは なので同じですが、 なら を使います。
ミス4:分けたあとのくくり方を間違える
を とするとき、2つのかっこが同じ形になるかを確認します。ならなければ、分け方か符号が違います。
ミス5:できない式を探し続ける
約数の組を全部試したら打ち切ります。解の公式に切り替えるほうが速い。
練習問題
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい。
- を因数分解しなさい(共通因数に注意)。
- 1の答えに と を代入して検算しなさい。
解答
- 、。かけて6たして7は1と6。
- 、、 なので両方負。かけて24たして は と 。
- 、、 なので異符号。かけて たして1は4と 。
- 、。かけて60たして16は6と10。
- 共通因数4をくくって 。中身は 。よって
- :元は 、答えは ○。:元は 、答えは ○
まとめ
- 探すのは「かけて 、たして 」の2数——1組だけ
- 見つけたら真ん中の項を分けて、2項ずつくくる
- 符号を先に決める( なら同符号、 なら異符号)
- 約数の組を小さい順に試す。組は多くない
- 共通因数は必ず先に外す。 が小さくなる
- 全部試して見つからなければ因数分解できない。判別式で判定できる
- 検算は展開/ と を代入
この方法は、高校で扱う係数がさらに大きい二次式や、2文字の二次式でもそのまま使えます。「探す対象を1組に絞る」という発想は、試行錯誤を手順に変える典型例です。中3のここで身につけておけば、因数分解にかかる時間が大きく短縮されます。
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