等積変形は「形を変えても面積は変えない」技術です。使いどころは1つ。
複雑な図形を、面積の等しい簡単な図形に置きかえる
根拠になる事実も1つだけです。
根拠:底辺が同じで、平行な線の上なら面積は同じ
(三角形の面積)=(底辺)×(高さ)÷2
底辺を固定したまま、頂点を底辺に平行な直線の上で動かすと、高さが変わりません。だから面積も変わりません。
底辺BCが4cm、高さが3cmの三角形ABCがあります。頂点AをBCに平行に動かしても面積は変わらないことを確かめなさい。
6平方センチメートル。Aをどこへ動かしても、高さが3cmのままなら答えは6のままです。
【検算】Aを右に10cm動かしても ○ 横にずれても高さは変わりません。
「平行に動かす」=「高さを変えずに動かす」
やってみる1:四角形を三角形に直す
下の四角形ABCDと同じ面積の三角形を作りなさい。Aは真上、Bは左下の角、Cは右へ4cm、Dはさらに右上の点とします。
方眼で考えます。A(0,4)、B(0,0)、C(4,0)、D(6,3) としましょう。
手順
- 対角線ACを引く
- DからACに平行な直線を引く
- その直線と辺BCをのばした線との交点をEとする
- 三角形ABEが答え
なぜ面積が変わらないのか
三角形ACDと三角形ACEは、底辺ACが共通で、DとEはACに平行な直線の上にあります。
三角形ACD = 三角形ACE
四角形ABCDは三角形ABC+三角形ACD、三角形ABEは三角形ABC+三角形ACE。共通部分に等しいものを足しているので、全体も等しいのです。
実際に計算して確かめる
ACの傾きは、右へ4・下へ4なので1マス右に1マス下。Dから同じ傾きで下ろすと
x軸との交点はE(9,0)です。三角形ABEの面積は
【検算】四角形ABCDを2つの三角形に分けて計算します。
三角形ABCは
三角形ACDは、底辺ACを使わずB側から引いて求めます。台形ABCDの一部として
——つまり三角形ACDは10。合計 ○ 一致しました。
やってみる2:平行四辺形の中の点
平行四辺形ABCDの内部に点Pをとります。三角形PABと三角形PCDの面積の合計は、平行四辺形の何倍ですか。
ABとCDは平行で長さも同じです。
- 三角形PABの高さ = PからABまでの距離
- 三角形PCDの高さ = PからCDまでの距離
この2つを足すと平行四辺形の高さになります。
(底辺)×(高さ1)÷2 +(底辺)×(高さ2)÷2
——は
(底辺)×(高さ1+高さ2)÷2 =(平行四辺形の面積)÷2
ちょうど半分です。Pがどこにあっても変わりません。
【検算】底辺6cm・高さ4cmの平行四辺形(面積24)で、Pが下から1cmの位置なら
○ 一致します。Pを上下に動かしても、2つの高さの和は4cmのままです ○
やってみる3:面積を2等分する直線
三角形ABCの面積を、頂点Aを通る直線で2等分するには、どこを通ればよいですか。
辺BCの真ん中(中点)です。
底辺が半分になり、高さは共通なので、面積も半分になります。
【検算】底辺4cm・高さ3cm(面積6)なら、底辺2cmずつに分かれて
どちらも3でちょうど半分 ○
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「面積が変わらない」ことが結論として教えられやすいから
平行線と面積の関係は事実として提示されます。ところがこれは使うための道具です。
どんな場面で使うか——複雑な図形を簡単にしたいとき——という目的が示されないと、知っていても使えません。
2. 自分で線を引く必要があるから
等積変形では問題の図に描かれていない線(平行線や対角線)を、自分で引きます。
与えられた図の中で解く練習が中心だと、線を足すという発想が出てきにくいのです。
3. 平行線と面積は中学2年の内容だから
「平行線にはさまれた三角形の面積は等しい」——これは中学2年で扱われます。
中学受験では小学生が使いますが、学年をまたぐ内容のため、根拠を式で確認する場面が作られにくいのです。
【検算】3つの方法
1. 変形前と変形後を、それぞれ計算する
最も確実です。方眼なら数えられます。
【検算】四角形ABCD=18、三角形ABE=18 ○
2. 「底辺が共通」「平行」の2条件を確認する
どちらか欠けたら成り立ちません。
【検算】底辺AC共通 ○、DEはACと平行 ○
3. 全体から引いた残りと合うか
【検算】、三角形ACDも10 ○
よくあるミス
ミス1:平行でない方向に動かす
高さが変わってしまいます。
ミス2:底辺を変えてしまう
底辺は固定したまま動かします。
ミス3:どの三角形が等しいか取り違える
共通の底辺を先に決めます。
ミス4:交点を辺の内側に取ろうとする
辺をのばした先になることもあります。
ミス5:等積変形で長さも変わらないと思う
変わらないのは面積だけです。
ミス6:検算せずに図の見た目で判断する
必ず計算で確かめます。
練習問題
- 底辺4cm・高さ3cmの三角形の面積を求めなさい。
- 頂点を底辺に平行に動かしたとき、面積がどうなるか答えなさい。
- A(0,4)、B(0,0)、C(4,0)、D(6,3)の四角形ABCDの面積を求めなさい。
- 3をDからACに平行な線で三角形に直したとき、その底辺の長さを求めなさい。
- 4の三角形の面積を求め、3と一致するか確かめなさい。
- 底辺6cm・高さ4cmの平行四辺形の内部の点Pについて、三角形PABと三角形PCDの合計を求めなさい。
- 三角形の面積を頂点を通る直線で2等分するには、どこを通るか答えなさい。
解答
- 6平方センチメートル
- 変わらない(高さが同じだから)
- 18
- E(9,0)なので底辺BEは9
- ○ 一致
- 12平方センチメートル
- 向かい合う辺の中点
まとめ
- 等積変形は面積を変えずに形を簡単にする技術
- 根拠は底辺が共通+平行なら面積が等しい
- 四角形は三角形1つに直せる
- 平行四辺形の中の点では向かい合う2つの三角形の和が半分
- 2等分は中点を通る直線
- 検算は前後の面積計算/2条件の確認/残りとの照合
等積変形の価値は、「計算しやすい形に変えてよい」と気づくことにあります。図形問題で手が止まったら、平行な線を1本引けないか探してみてください。面積を動かせる場所が見つかれば、問題は一気に簡単になります。
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