「 を について解きなさい」。方程式は解けるのに、この形になると止まる。文字が2つあると、何をすればいいのか分からなくなる——中2で非常に多いつまずきです。
ですが、やることは方程式を解くのとまったく同じです。違いは1つだけ。答えが数ではなく式になる、それだけです。
結論:「 について解く」=「 の形にする」
「 について解く」とは、 から始まる形に書き換えるという意味です。
- 左辺は だけ
- 右辺には を1つも残さない
これだけが条件です。「解く」という言葉に惑わされないでください。答えを1つの数に決めるのではなく、形を変えるだけです。
だから手順も方程式と同じです。
- 求める文字の項を左辺に、それ以外を右辺に移項する
- 求める文字の係数で両辺を割る
やってみる
例1: を について解く
ステップ1: の項だけ左に残し、 を右へ移項します。
ステップ2: の係数3で両辺を割ります。
【検算】元の式に戻します。 を入れると 。元の式 。一致しました。
もう1つ、 なら 。。これも一致。
同じ式を について解く
今度は を残します。
同じ式なのに、見た目がまったく違います。どちらも正しい。「どの文字について解くか」で答えの形が変わるだけです。
【検算】 なら 。元の式で 。一致。
係数が文字のとき
ここからが本番です。割る相手が文字になると、急に難しく感じます。
例2: を について解く
両辺を で割るだけです。
文字で割ってよいのかと不安になりますが、問題ありません。ただし が前提です(0では割れないため)。中学の問題では、この条件は暗黙に認められています。
例3: を について解く
三角形の面積の公式です。高さを求める式に書き換えます。
まず両辺に2をかけて分数を消します。
次に で割ります。
【検算】底辺 、高さ なら面積は 。この を式に入れると
元の高さに戻りました。
例4: を について解く
長方形の周の長さの式です。かっこを外すか、先に2で割るか——どちらでもできます。
方法1(先に割る):
方法2(先に展開):
【検算】2つの答えが同じか確かめます。。同じ式です。
数でも確認します。 なら 。方法1で 、方法2で 。どちらも5に戻りました。
途中の道が違っても、同じ答えに着く。これが確認できると、変形の自由度に自信が持てます。
求める文字が2か所に出るとき
最も難しいのがこの型です。
例5: を について解く
が両辺にあります。まず を含む項を左辺に集めます。
ここで でくくり出します。これが最大のポイントです。
あとは で割るだけ。
くくり出さないと割れません。 のままでは、何で割ればいいか分からないからです。
【検算】 とすると、元の式は 。解くと 、。
公式に入れると 。一致しました。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「解く」という言葉が2つの意味で使われるから
中1で「方程式を解く」と習ったとき、それは「 の値を求める」という意味でした。
中2の等式変形で「 について解く」と言われると、同じ「解く」なのに「形を変える」という別の意味になります。
同じ言葉が違う作業を指している——これは用語の構成上の問題で、意味の違いを明示的に説明する場面がないと、混乱が残ります。
2. 単元内での扱いが短いから
等式の変形は、中2の「式の計算」の中の一項目として扱われます。単項式の乗除や文字式の証明といった内容と並ぶため、この項目だけに多くの時間を割く構成にはなりにくいのです。
ところが等式変形は、この後ずっと使い続ける道具です。中2の一次関数( を の形に直す)、中3の平方根、高校の物理の公式変形——出番が非常に多い。扱われる分量と、実際に使う頻度が釣り合っていない項目です。
3. 「くくり出す」段階が必要な問題が発展扱いになりやすいから
のように求める文字が2か所に出る型は、 でくくるという1ステップが余分に必要です。
この型は基本問題より難しいため、発展的な内容として扱われることが多い。ところが高校の物理や数IIの分数式では、この型が標準になります。
対策ははっきりしています。「求める文字を左に集めて、くくり出して、割る」——この3ステップを型として持っておくこと。 が何か所にあっても、同じ手順で処理できます。
【検算】数を入れて元の式に戻す
等式変形の検算は具体的な数を入れて、元の式が成り立つかを見ます。
| 元の式 | 解いた形 | 代入 | 元の式で確認 |
|---|---|---|---|
| ○ | |||
| ○ | |||
| ○ | |||
| ○ |
もう1つ、「求めた文字が右辺に残っていないか」を必ず確認してください。 の右に があったら、変形は完了していません。
この見落としが最も多いので、書き終えたら右辺を目で追ってください。
よくあるミス
ミス1:右辺に求める文字が残る
のような答え。これは解けていません。
右辺に が1つでもあれば未完成。書き終わりに必ず確認します。
ミス2:移項で符号を変え忘れる
から としてしまうミス。正しくは 。
移項は両辺から引く操作なので、符号が変わります。数を代入すれば必ず気づけます。
ミス3:一部の項にだけ割り算をする
を としてしまうミス。右辺のすべての項を3で割ります。
分数の横線はかっこの働き。すべての項にかかります。
ミス4:くくり出しをせずに割ろうとする
のまま や で割ろうとするミス。先に の形にします。
「割る前にくくる」——順番が決まっています。
練習問題
- を について解きなさい。
- を について解きなさい。
- を について解きなさい。
- を について解きなさい。
- を について解きなさい。
- を について解きなさい。
解答
- より。検算: で 、元の式 ○
- より。検算: で 、元の式 ○。負で割るので符号が全部変わります
- 。検算: なら 。 ○
- 両辺に2をかけて 、。 全体で割ります。検算: なら 。 ○
- 。検算: なら 。 ○
- 、、 より。検算:、 ○
まとめ
- 「 について解く」= の形にする。答えが式になるだけで、手順は方程式と同じ
- 手順は①左に集める ②くくり出す ③係数で割る
- 係数が文字でも割ってよい(0でないことが前提)
- 求める文字が2か所に出たら、必ずくくり出す。くくらないと割れない
- 割るときは右辺のすべての項に。分数の横線はかっこの働き
- 検算は数を入れて元の式に戻す/右辺に求める文字が残っていないか
等式変形は、中2の一次関数で を に直す場面ですぐ必要になります。さらに高校では、物理の公式変形、数IIの分数式、微分方程式までほぼ毎回この操作が入ります。「集める・くくる・割る」の3ステップ——扱われる時間は短くても、使う回数は数学のどの操作よりも多い部類です。
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