分母が だけなら、同じものをかければ有理化できます。では分母が のときはどうするか。
符号を1か所だけ変えたもの(共役)をかける
使うのは、中3で習ったばかりの公式1つだけです。
なぜ共役をかけると根号が消えるのか
に をかけてみます。
2乗されるので根号が外れます。これが共役をかける理由です。
【検算】展開して確かめます。
まん中の項が打ち消し合う ○ だから根号が残りません。
やってみる1:分子が1
を有理化しなさい。
分母と分子に をかけます。
【検算1】おおよその値で確かめます。 として
一致 ○
【検算2】逆に、答えの式を元に戻せるか確かめます。
元に戻りました ○
やってみる2:分母が根号2つ
を有理化しなさい。
共役は 。
分母が消えました。
【検算1】、 として
一致 ○
【検算2】分母の計算を確認します。
○ 2乗すると整数になるのが根号の性質です。
やってみる3:分子にも根号がある
を有理化しなさい。
分母の共役 をかけます。分子も同じものをかけるので、分子は2乗になります。
【検算1】値で確かめます。
一致 ○
【検算2】分子の展開を確認します。
○ まん中の項を忘れやすいので注意してください。
【検算3】約分できるか確認します。 は2でくくれます。
○
なぜ有理化するのか
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 大きさが分かる | なら約0.37とすぐ計算できる |
| 計算しやすい | 分母が整数なら通分が簡単 |
| 形がそろう | 同じ数を1つの形で表せる |
【検算】 のままだと、値の見当がつきにくい。有理化すれば ですぐ約0.37と分かります ○
共役はほかでも使う
この「符号を変えてかける」考え方は、高校でも同じ形で登場します。
- 数I:分母の有理化(3項の場合も)
- 数II:複素数の分母の実数化( を消す)
- 数III:極限の計算( を含む不定形を解消する)
使う公式はどれも だけです。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 1項の有理化で終わりやすいから
のような形は同じ数をかけるだけ。ここまでは全員が理解します。
ところが2項になると発想が変わります。「同じものをかける」ではなく「符号を変えたものをかける」——この切りかえが説明されないと、手が止まります。
2. 「なぜ有理化するのか」が示されにくいから
教科書では有理化するものとして扱われます。理由は書かれていないことが多い。
値の見当がつくという実用的な理由を知ると、面倒な作業ではなくなります。
3. 乗法公式の応用だと気づきにくいから
有理化は平方根の単元、 は多項式の単元です。
単元が分かれているため、「あの公式が使える」と気づきにくい。公式を思い出せれば、覚えることは何もありません。
【検算】3つの方法
1. おおよその値で照合する
最も確実です。、、 を覚えておきます。
【検算】、 ○
2. 逆に戻せるか確かめる
【検算】 に をかけると元に戻る ○
3. 分母の計算だけ先に確認する
整数になっているかを見ます。
【検算】 ○ 根号が残っていたら共役が違います
よくあるミス
ミス1:分母と同じものをかける
符号を変えた共役をかけます。
ミス2:分子にかけ忘れる
分母と分子の両方にかけます。
ミス3:2乗の展開でまん中の項を忘れる
です。
ミス4:約分を忘れる
共通因数がないか確認します。
ミス5:符号を取り違える
の共役は です。
ミス6:分母が0になる場合を見落とす
のような形は使えません。
練習問題
- を計算しなさい。
- を有理化しなさい。
- 2の答えをおよその値で確かめなさい。
- を有理化しなさい。
- を展開しなさい。
- を有理化しなさい。
- 6の答えをおよその値で確かめなさい。
解答
- 2
- どちらも約0.366 ○
- どちらも約3.732 ○
まとめ
- 分母が2項なら共役(符号を変えたもの)をかける
- 根拠は
- 分子にも同じものをかける
- 分子に根号があれば2乗の展開に注意
- 有理化すると値の見当がつく
- 検算は近似値/逆に戻す/分母が整数か
有理化は新しい技術ではなく、乗法公式の使い道の1つです。「根号を消したい → 2乗にすればよい → が使える」——この流れで考えれば、複素数でも極限でも同じ手が打てます。
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