増減表は作り方の手順が決まっています。迷うとしたら2か所だけ。
①符号をどう調べるか ②符号が変わらないときどうするか。この2つを押さえれば、増減表で困ることはなくなります。
結論:5ステップで作る
- を求める
- を解く(極値の候補)
- 候補で数直線を区切り、各区間の符号を調べる
- 表を書く(、、 の3段)
- 符号の変わり方で極大・極小を判定
| の符号 | 判定 |
|---|---|
| から | 極大 |
| から | 極小 |
| 変わらない | 極値ではない |
3行目が最も見落とされます。 でも極値とは限りません。
なぜ の符号で増減が分かるのか
はその点での接線の傾きでした。
- 傾きが正 → 右上がり → 増加
- 傾きが負 → 右下がり → 減少
増減表は「傾きの符号を並べた表」です。それ以上のことはしていません。
やってみる:
ステップ1・2
ステップ3:符号を調べる
各区間から代表の値を1つ選んで代入します。
| 区間 | 代表値 | 符号 | |
|---|---|---|---|
| 0 | |||
| 2 |
因数分解した形 からも読めます。2つの因数の符号をかけ算するだけ。
ステップ4:表を書く
| … | … | 1 | … | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 0 | ||||
| ↗ | 2 | ↘ | ↗ |
ステップ5:判定
- : から なので極大値2
- : から なので極小値
【検算1】極値を計算します。
○
【検算2】前後の値と比べます。
| 0 | 1 | 2 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 0 | 2 |
が山、 が谷になっています ○
【検算3】、 ○
符号が変わらない場合
の増減を調べよ。
の解は 。ところが
| 区間 | 代表値 | 符号 | |
|---|---|---|---|
| 3 | |||
| 1 | 3 |
符号が変わっていません。したがって極値はありません。
【検算】実際の値を並べます。
| 0 | 1 | 2 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | 1 | 8 |
ずっと増え続けています ○ 山も谷もありません。
は極値の必要条件であって、十分条件ではない——これが3行目の意味です。
そもそも に解がない場合
の増減を調べよ。
なので 。実数解はありません。
常に増加で、極値はなし。
【検算】、、。増え続けている ○
極値の個数は判別式で決まる
3次関数 の導関数は2次式なので、判別式で解の個数が決まります。
| の判別式 | 極値の個数 |
|---|---|
| 2個(極大と極小) | |
| 0個(符号が変わらない) | |
| 0個(常に増加または減少) |
【検算】3つの例で確かめます。
| 関数 | 判別式 | 極値 | |
|---|---|---|---|
| 2個 ○ | |||
| 0個 ○ | |||
| 0個 ○ |
極値は2個か0個のどちらか。1個ということはありません。
極大値と最大値は違う
3次関数は、範囲を決めなければ最大値も最小値もありません。 を大きくすればいくらでも大きくなるからです。
における の最大値と最小値を求めよ。
極値だけでなく、端点も比べます。
| (端) | (極大) | 1(極小) | 3(端) | |
|---|---|---|---|---|
| 2 | 18 |
最大値18()、最小値 ( と )。
【検算】 ○ ○
極大値2は最大値ではありません。端点の18のほうが大きい。極値は「まわりと比べて」の話だからです。
学校の授業では、なぜここが飛ばされやすいのか
1. 「符号が変わらない」例が標準問題に出にくいから
教科書の例題は極値が2個ある場合が中心です。そこでは がそのまま極値になります。
そのため「 なら極値」と覚えてしまいやすい。 のような例は注意として1回出るだけのことが多く、印象に残りにくい構成です。
2. 極大値と最大値の違いが、定義域つきの問題でしか表れないから
定義域が実数全体なら、3次関数に最大値・最小値はありません。極値だけを求めて終わりになります。
ところが定義域が制限されると端点との比較が必要。この違いは別の設問として後から出てくることが多く、「極大値=最大値」という思い込みが訂正されないまま進みやすい。
3. 増減表の「なぜ」が自明扱いになるから
が正なら増加——これは直感的に当たり前に見えます。だから説明が短くなる。
しかし「増減表は接線の傾きの符号を並べた表」という見方を持っているかどうかで、応用力が変わります。表の形を覚えるのではなく、符号を追う——それが本質です。
【検算】3つの方法
1. 各区間の代表値を に代入する
符号だけ分かればよいので、計算しやすい値を選びます。
【検算】、 ○
2. 極値の前後の の値を比べる
極大なら両隣より大きいはずです。
【検算】、、。山になっている ○
3. 極値の個数を判別式で確認する
2個か0個のはずです。1個なら計算ミス。
【検算】 の判別式は で2個 ○
よくあるミス
ミス1: をすべて極値とする
符号が変わるかを必ず確認します。
ミス2:極大値を最大値と答える
定義域があれば端点も比べます。
ミス3: の値を表に書く
表に書くのは符号( と )です。値は不要。
ミス4:極値の 座標を答えてしまう
極値は の値です。「 で極大値2」と書きます。
ミス5:区間の代表値を境界にとる
境界は なので符号が分かりません。内部の点を選びます。
ミス6:増減の矢印を逆に書く
なら ↗、 なら ↘。
練習問題
- の増減表を作りなさい。
- 1の極大値と極小値を求めなさい。
- に極値がないことを説明しなさい。
- に極値がないことを説明しなさい。
- 3つの例について、 の判別式と極値の個数を対応させなさい。
- における の最大値と最小値を求めなさい。
- 極大値と最大値の違いを説明しなさい。
解答
- 。符号は。 で極大、 で極小
- 極大値2()、極小値()。検算: が間にある ○
- は 以外で常に正。符号が変わらないので極値なし
- で常に正。 の実数解がない
- で2個、 で0個、 で0個。2個か0個のみ
- 、、、。最大18、最小
- 極大値はまわりと比べて大きい値。最大値は定義域全体で最も大きい値。6では極大値2より端点の18が大きい
まとめ
- 手順は① ② ③符号 ④表 ⑤判定
- → が極大、→ が極小
- 符号が変わらなければ極値ではない()
- 3次関数の極値は2個か0個(判別式で決まる)
- 極大値 最大値。定義域があれば端点も比べる
- 増減表は接線の傾きの符号を並べた表
- 検算は代表値を代入/前後の値を比べる/判別式で個数
増減表は「関数の形を、符号の情報だけで再現する」道具です。グラフを正確に描かなくても、増える・減るの並びさえ分かれば、山と谷の位置が決まる。この考え方は数IIIの第二次導関数(グラフの凹凸)まで、そのまま拡張されていきます。
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